デリバリー注文が増えたにもかかわらず、口座残高や店舗全体の利益が減っている場合は、売上集計より先にコスト構造を確認する必要があります。デリバリーアプリに表示される注文売上と実際の精算額を区別し、注文ごとに発生する費用と、一定期間に負担する広告費・追加人件費を分けて計算することで原因を把握できます。重要な判断基準は注文数ではなく、注文別限界利益とデリバリーチャネル全体の損益です。

注文売上と実際の精算額を区別する

デリバリーアプリの画面に表示される注文売上は、店舗が実際に受け取った金額と異なる場合があります。精算時にプラットフォーム関連費用、決済関連費用、配達料のうち店舗側が負担する金額、店舗側負担の値引き額などが差し引かれることがあるためです。適用項目と負担主体は、プラットフォームとの契約やプロモーション条件によって異なるため、推測せず、注文・精算明細で直接確認する必要があります。

確認の出発点は、注文売上、控除項目、実際の入金額を同じ精算単位でひも付けることです。キャンセルや一部返金、値引きの分担額、精算保留額や調整額も漏らしてはいけません。アプリ上の売上は注文日基準、入金額は精算日基準で比較すると期間がずれる可能性があるため、同じ注文期間にそろえる必要があります。

1件の注文でいくら残るかを計算する

注文別限界利益とは、販売金額から、その注文によって増加した費用を差し引いた金額です。基本的な計算項目には、食材原価、包装容器・消耗品費、プラットフォーム・決済関連費用、店舗側負担の配達料、店舗側負担の値引き額などがあります。無料提供品やメニューごとの追加包装資材がある場合は、実際の使用量に合わせて含めます。

この金額は、賃料や月額広告費まで全て差し引いた最終的な純利益とは異なります。ただし、注文が増えるほど店舗が固定費を賄いやすくなるのか、それとも変動費だけが増えるのかを判断する際に役立ちます。限界利益が極端に低い、またはマイナスとなる注文が多ければ、売上の増加がそのまま利益の減少につながる可能性があります。

メニュー原価は、食材費全体を売上全体で割った平均値だけを使うよりも、メニュー別の標準使用量と直近の仕入単価を基準に計算するほうが正確です。カン・ジョンホン(강종헌)著の登録書籍『売上不振店舗の秘密を明らかにする』でも、売上だけを見るのではなく、原価率と利益データを併せて分析してこそ、収益性低下の原因を把握できると強調しています。原価率は売上原価を売上高で割って確認しますが、デリバリー分析では包装費とチャネル費用を別項目として加える必要があります。

広告費と追加人件費は期間損益に反映する

デリバリー専用の広告費や追加人件費は、個々の注文に直接対応させることが難しい場合があります。こうした費用は、1週間または1カ月など一定の分析期間を設定し、デリバリーチャネルの損益に反映します。デリバリー注文の増加によって勤務時間が延びた場合や、別途包装担当者を配置した場合は、既存の人件費に含めたままにせず、増加分を区分する必要があります。

デリバリーチャネルの損益は、対象期間のデリバリー売上から、メニュー原価、包装費、プラットフォーム費用、値引き費用などの変動費を差し引き、さらにデリバリー専用広告費と追加人件費を差し引くことで確認できます。店舗共通の賃料や水道光熱費までチャネル別に配賦する場合は、売上比率や使用時間など、一貫した基準を定める必要があります。基準を頻繁に変えると、前月比較の意味が薄れます。

メニュー別の販売数より残る金額と調理負担を見る

販売数が多いデリバリーメニューが、必ずしも優れたメニューとは限りません。食材原価が高く、値引きや複数の包装資材が重なる場合や、調理時間が長く他の注文を遅らせる場合は、チャネル全体の利益を下げる可能性があります。メニュー別に販売数、売上、注文当たり限界利益、調理時間、廃棄の可能性、包装の難易度を併せて記録し、維持・改善・除外の対象を区分する必要があります。

収益性が低いからといって、すぐに量を減らしたり品質を下げたりする方法は、顧客満足度や再購入に影響を及ぼす可能性があります。まず原材料の規格と使用量、供給条件、包装構成、販売価格、オプションの組み合わせを見直し、改善後も残る金額が不足するメニューを再評価する順序が適切です。

値引きと広告は実施前後の損益で評価する

値引きや広告の成果を注文件数だけで判断すると、費用の増加を見落としやすくなります。実施前後の注文数とともに、平均注文金額、注文別限界利益、広告費を差し引いたデリバリーチャネル利益を、同じ期間基準で比較する必要があります。曜日構成や営業時間が異なる期間を単純に比較しないことも重要です。

確認表には、次の項目を継続して記録できます。

  • デリバリーアプリの注文売上、実際の精算額、控除理由
  • メニュー別の食材原価と包装費
  • プラットフォーム費用、配達料、値引き額のうち店舗側が負担する金額
  • 注文別限界利益と平均注文金額
  • デリバリー専用広告費と追加人件費
  • 店内飲食・テイクアウト・デリバリーのチャネル別売上と期間損益

店内飲食・テイクアウト・デリバリーを分けることで、デリバリーが既存の厨房と人員を効率的に活用しているのか、それとも追加人員や待ち時間を発生させているのかを確認できます。売上増加を収益性の改善と決めつけず、精算明細と費用の発生時期をそろえて繰り返し比較することが、デリバリー損益管理の基本です。

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